今回のテーマは「菓子製造業の許可申請から許可証交付まで」。
この記事では工房リフォーム後にやることを解説していきます。
項目としては大きく分けて3つ。
- 書類の準備と申請
- 保健所による審査
- 許可証を受け取る
いよいよパン屋開業へのカウントダウンに入ってきました。
しかし……ここからがスタートです。
知っておくべき知識や使えるサービス、ツールをどんどん放出していきますので吸収しまくってくださいね!
菓子製造業許可申請の流れ
リフォームを終え必要な設備が整ったら、いよいよ菓子製造業許可の申請の段階です。
申請から許可取得までの流れはこんな感じ。
- 必要書類の提出
- 保健所による施設審査
- 仮許可証の交付
- 本許可証の受け取り
ドキドキするのは施設審査まで。それが終われば、一区切りつきます。
それぞれ解説していきます。
1.必要書類の提出
まずは必要書類を揃えていきましょう。
申請に必要なものは以下の通り。
- 食品営業許可申請書/営業届(新規・継続)
- 施設の構造及び設備を示す図面
- 許可申請にかかる手数料
- 食品衛生責任者の資格証明書類
法人の場合は登記事項証明書の提示が必要。また井戸水など上水道以外の水を営業用水とする場合は水質検査成績書の写しが必要になります。
それぞれの書類をのぞいていきましょう。
食品営業許可申請書/営業届(新規・継続)
申請となりますので、申請書を提出する必要があります。自治体により書類の形式は異なるかと思うのですが、参考までに愛知県のものを紹介していきますね。
それがこちらの書類になります。

表面には「申請者の情報」「施設の情報」「なにを取り扱うか」。

裏面には「法律に関する確認」「資格に関する確認」「許可取得の確認」を記載します。
特段難しい事はないのでそのまま書いていけばいいのですが、施設の情報にある「HACCPの取組」の項目は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を選択してください。

HACCPは2種類あります。
大規模な工場などはかなり細かい衛生管理が必要になりますが、小規模な店舗などではもう少しマイルドにしてくれています。
ですので、マイルドな方を選択しましょう。HACCPについては別記事で解説しますね。
書類の中にわからない項目があれば空欄にしていき、保健所の方と相談しながら記入していってください。
施設の構造及び設備を示す図面
図面はリフォームの際につくっていたものを提出します。
わたしはこちらの図面を提出しました。実際には手書きしたものになります。

この図面をもとに審査時に確認が行われます。
自治体によってかもしれませんが「営業設備の大要」という書類も用意しました。
これはなにかというと、設備の概要や配置をリスト化したもの。図面だけではわからない材質だったり、設備を書類にしたものになります。
「食品営業許可有効期間査定基準」と項目がほぼ同じだったので、現在はこちらに置き換わっている可能性があります。なんせわたしが許可を取得したのが10年前ですから、いろいろ変わっていることはあるかなと思います。必要であれば準備してください(保健所から指示があるかと思います)。
あとうろ覚えなのですが、図面は「2部準備してね」といわれた記憶があります。念の為数枚用意しておくといいかと思います。
許可申請にかかる手数料
手数料は自治体により異なります。
こちらも参考までに愛知県のものを載せておきますね。

菓子製造業許可の手数料。新規申請の場合は18000円、継続の場合は14400円。
許可年数で割ると1年の施設費が出せますね。
わたしはMAX6年の取得ができたので、初年度から初回更新までは18000÷6=3000円。それ以降は14400÷6=2400円。
あとは工房敷地の固定資産税がほんの少しかかる程度。
月計算だと下手したら1000円かからず運営ができます。
いかにお金の面で自宅内に工房があると楽かがわかりますね(我が家が田舎だからかもしれませんが笑)。
食品衛生責任者の資格証明書類
食品衛生責任者の資格は講座を受講すれば取得できます。許可証はA4くらいの紙でもらいます。
イベント出店で確認されることもありますので、証明書類は画像として残しておきましょう。
またネットショップ開設時は確認書類を提出するので営業許可と合わせて準備しておきましょう。やはりデータとしてもっておくと楽ですね。
食品衛生責任者については次の記事で詳しく解説予定です。

ここまで紹介した4点セットをもって保健所に申請にいきます。
申請にいくと一旦書類上での確認が行われ、修正が必要な箇所は審査までに修正しておくようにいわれます。
その場で審査予定日を決めることもありますし、後日ハガキ等で案内がくることもあります。
審査日までに必要なものは用意し、施設を完成させておきましょう。
2.保健所による施設審査
いよいよドキドキの施設審査! 指定された日に保健所の方がやってきます。
我が家は自宅が少し奥まった場所にあり、そのさらに奥にパン工房がありますので電話で確認しながらきていただきました。
パン工房の外観をみてひとこと。
「え、ここが厨房なんですか?」
ですよね、みためは思いっきりイナバ物置ですもの笑
中に入ってまたひとこと。
「めっちゃステキじゃないですか!」
ありがとうございますー、そうなんですーなんて会話をしながら審査がはじまりました。といってもおおよそは書面上で確認をしているため、それを照らし合わせる作業。その上で改善点や注意点を教えてくれます。
わたしが審査を受けて指摘されたのは3点。
- 衛生上、飾るものは極力ナシにしましょう
- 作業机と保管場所、梱包の場所は分けてください
- 許可証は見えるところへ設置してください
当時雑貨を集めるのが好きで、イベント出店時も雑貨屋に間違われるほどいろいろなものを置いていました。
なので当然のごとく工房でも飾っていたのですが…まぁ普通に考えたら衛生的にダメですね。すぐ撤去しました。
作業区画については作業台は準備していたのですが、多くの菓子製造業取得時に1カ所足りないことが多いそう。

見逃しがちなのが、梱包の場所だそう。たしかにどこでもいいような気がしちゃいますよね。そのため確認として伝えられました。
許可証は食品衛生責任者の書類と横並びにして、なるべくわかりやすいところにお願いしますとのことでした。
レストランなどでもレジ後ろに飾ってあったりしますよね。製造所としてはそこまでがっつりでなくてもいいのですが、必要時にすぐわかる場所に置いておくのは対策になります。
わたしも工房の上部にある棚に飾っています。

わかりますかね? 右上に棒みたいなのがありますよね。
これ、実は棚です。ちょっとした額に許可証を入れて立てかけてあります。
検査の時間としては15分あったかな?どうかな?くらい早かったです。
下手したら10分程度。終始和やかな雰囲気で終わりました。
3.仮許可証の交付
保健所の審査終了後、大きな修正点がなければその場で仮の許可証が渡されます。
これ。本当に仮で、紙にチャチャッと書いてある感じでした笑
もし大きな修正点が発生した場合は再審査を受けることになります。リフォーム業者との打ち合わせや買い足しが必要になるかもしれません。その場合は再審査の日までにしっかり修正するようにしましょう。
仮の許可証を受け取ってからは菓子製造業許可としての活動が可能になります。本許可証交付までの証明書類として画像に残しておいてください。
4.本許可証の受け取り
仮許可証交付のタイミングで「いつから本許可証が受け取れるか」を伝えてもらえます。
おおよそ交付までは2週間程度ですので、指定された日以降に保健所に取りにいきましょう。
もし保健所の近くに食品衛生協会などがあれば、検便用のスピッツを2本購入しておくとこのあとの手間が省けます。
許可証交付までにやること
これにて「菓子製造業許可の申請」は終了。
先ほどお伝えした通り、仮許可証で活動が可能になりますので店舗の開店やイベント出店に向けて準備を進めていきましょう。
許可証交付までにしておきたいことが2点あります。
- 開業届等の提出
- HACCPの準備
よくこんなことを聞かれます。
「開業届を出さなくてもパン屋はできますか?」
「扶養内でパン屋開業することはできますか?」
ものすごく大きく考えると理論上は「できます」。
なのですが、開業届に関してはおそらく保健所から出すようにいわれるかと思います。
「住居と別の場所であること」が施設基準要件にありますよね。その時点で「仕事場です」といっているようなもの。

これを仕事場でないとするなら、なにが仕事場?になってしまいます。
実際わたしも施設審査の際に開業届については聞かれました。
わたしはもともと別事業をしていて開業届は提出していましたので、その旨を伝えて話は終了となりました。
扶養内でパン屋を開業したい場合、このあたりで詰んでしまうことがあるんですよ。
扶養内パン屋ができるかどうかという話は有料noteでがっつり話していますので、よろしければご一読ください。
開業届を出した時点で扶養から外れることもあります。いわゆる103万円の壁は給与所得に関係することですから、思った以上に扶養内で活動すると壁が下がる事情もあります。
扶養内パン屋したい方にとりあえず先に伝えておきたいのは「旦那さんの勤務先の要件、しっかり確認してね」です。
気まずいから聞きたくないとかいってられませんので、しっかり確認して気持ちよくパン屋をはじめましょう。
HACCPや検便、食品衛生講習会については内容がモリモリなのでそれぞれ解説します。
以上が「菓子製造業許可申請・実践編」でした。
今回のまとめ
「営業許可」だなんて聞くと大ごとに感じますよね。
もちろん大金が動くわけでちいさなことではないかと思いますが、しっかり対策や準備をすれば案外すんなりと事は進んでいきます。
そしてここで安心していてはいけません。
これからは持続可能なパン屋運営をするために試行錯誤しながら日々を過ごしていくことになります。
また営業許可取得後もやることがあったり、数年おきに許可の更新もありますので、そのあたりも今後実践ベースでお伝えできたらと思います。
次回は「開業までに必要な資格・届出について」です。