3回にわたってキャッシュレス決済について解説してきました。
今回は「レジ機能」のお話。
パン屋の会計において、完全に現金をなくすことは簡単ではありません。
しかしながらキャッシュレス決済の割合が増えていることも事実。……なんだけどやっぱり現金も一定数いるわけで。
そうなると混乱しがちなのが「レジ」。
どのように管理するのがいいのか。なるべくならお金をかけずにやりたいところ。
クレジット決済会社に紐づいたものを使うべきか。はたまた別で管理していくべきか。
そこには「手間」「管理費」の壁があります。そのあたりも解説していきます。
レジ機能に課金するかどうか
まず「自分にはどんなレジが必要か」を考えていきましょうか。
そこで考えていただきたいのがこの視点です。
「すべてを一元管理したいか否か」
現金・QRコード決済・クレジットカード決済。これらすべてをひとつにまとめられるなら、そりゃあしたいですよね。
しかしそれには「月額費用」がかかることが多いのです。
例えばSTORESレジ。こちらの画面をご覧ください。

「在庫なし」と記載がありますよね。在庫ないから前にきてると邪魔だなって。
なら在庫を設定してみたらいいじゃないかと思うじゃないですか。
試しにいくつか在庫を入れてみました。

おっと、なんということだ。「在庫なし」の隙間にそっと配置されておる。
これを自由に並べ替える方法を調べてみました。

課金する必要があるんですって泣 うまくできてますねぇ。
STORESのスタンダードプランだと月額3300円。STORES全体への課金なので、確かにお得といえばそうかもしれません。
が、月額費用をペイするまでの売り上げを考えると、ちいさなパン屋にとっては決して安いものでもありませんよね。
ほかにも課金するものはありますし。LINE公式アカウントとか。
お店として導入するのであれば課金してぜひ使いたいけれど……ひとり運営のちいさなパン屋。特に開業したての場合、あまりあれこれと維持費を増やすものではありません。
というわけで今回は「無料で使えるアプリ」からアプローチしていこうと思います。
ただし「一元管理はできません」。でもそれぞれは独立していますので、それらを足せば管理は意外と簡単。
ちょっと手間はかかりますが、個人的にはちいさなお店だからこそそういった手間はかけてもいいのではと考えています。
その上で維持費をかけても大丈夫! と思えば課金して一元管理できるものを使っていきましょう。
STORESレジ等のPOSレジに関してはこちらからどうぞ。
となるとどうしたらいいの? って話。
前の記事で「PayPayとクレジットカード決済は分けよう」とお伝えしました。
レジに関しても考え方は同じです。
- 現金
- PayPay決済
- クレジットカード決済
これらをそれぞれ集計し、営業終了後に合算していくスタイルを推奨します。

合算といってもそれぞれのアプリでそれぞれの集計は出ていますので、それらの数値を合計すればOK。そこまで難しいことではありません。
また今回紹介するアプリをうまいこと使えば「どのパンを」「いくつ」「どの決済で」購入したかも管理できるようになります。しかも無料で。
そのあたりもいまから紹介していきます。
オリジナル手法になるので、どこにも出回っていない方法です笑
おすすめ無料レジアプリ「即売レジ」
具体的なレジの流れを説明する前に、いまから使っていくアプリの基本操作を解説していきます。
使用するアプリは「即売レジ」です。

おそらく10年戦士近い古参のレジアプリ。そろそろ卒業かな? と思いつつも、いまでも意外と使っています。
アプリ内課金をすると広告が非表示にできますが、そこまで広告も大きくないですのでわたしは無料で使っています(アプリ開発者泣かせかもしれん笑)。
このアプリの特徴は3つ。
- とにかくシンプルな使い心地
- 通信環境なしで使用できる
- 1日のデータをCSV形式で出力可
のちほど使い方の解説はしますが、とにかく機能が削ぎ落とされています。
だからなのか、何気にアプリの評価も高い。なにより通信せずに使えるのも最高ですよね。というか持ち出す場合、通信しないのでほぼ広告表示はありません笑

ありがたいのが1日の売上詳細のデータが残ること。しかも一覧で表示することができます。もちろんデータは保存可能。やりようによっては現金などの支払方法もここで管理できます。

だんだん気になってきましたか? 無料で使えますので、とりあえずアプリをダウンロードしてみてください。
レジに関しての選択肢は2つ。

- お金をかけて一元管理するか
- 少し手間だけど無料で凌ぐか
わたしは後者かな。それではここからは具体的な方法に入っていきましょう。
即売レジの基本機能
アプリをダウンロードするとこの画面が表示されます。

機能としては右側の8個の項目のみ。
- 販売管理
- アイテム管理
- 記録管理
- プレミアム機能
- よくある質問
- フィードバック
- 設定
- その他
このうちよく使うのが上3つ。

「販売管理」はいわゆるレジ画面。現金決済を想定しての管理画面ですが、上手にアイテムを管理すれば支払方法の区分けもできるようになります。

「アイテム管理」は販売するアイテムを管理する画面。3セット登録することができます。

何気に画像なども入れられます。なんなら品目ではなく、価格ごとのカートにしておくのもひとつの方法。
ただその場合は「どのパンが、いくらか」を自分がしっかり把握しておかないと二度手間。あと「どのパンが、どのくらい売れたか」がわからないのもちょっと困るかも。
例えばフリマで300円、500円とかで適当に値付けしていたらアリかな。
18禁とかどこで使うんや笑

「記録管理」は先ほど出てきました。1日の集計画面となります。
こちら、例えば2025年12月1日のイベント出店なら「log@20251201ーー」みたいに日付が表示されます。どの日かわからないということはないので、ご安心ください。

「プレミアム機能」もございます。買い切り型で650円。
- 広告が非表示になる
- 登録アイテム数100まで可能
- レシートデザイン機能
- 精算レシート印刷機能
うむ、どっちでもいいかな。今後も無料で使わせていただきます。ありがとうございます。
残りはみればわかる感じですね。

「設定」は割と細かくあります。
- システム設定
- 販売画面設定
- アイテムボタン設定
- サイズ設定
- タッチフィードバック
- レシートプリンター
- パーソナル設定
最近の機能で、微振動が搭載されたらしいです。選択音なども設定できるようですよ。難しい設定もありませんので、お好みで変えてみてください。
以上が、アプリの基本機能でした。
ここからは実際にアイテムを登録していきましょう。
即売レジにアイテムを登録する
それでは早速アイテムを登録していきます。

ホーム画面の真ん中あたり「アイテム管理」を推します。

上にタブがあり、3つ登録できることがわかります。名前はなんでもいいのですが、「何月何日イベント出店」などにしておくとわかりやすいかな。
販売するメニューを入れていきます。
今回はこんな感じのメニューにしましょうかね。

平日に開催するちょっとちいさめのマルシェに出店するイメージでいきましょう。
数はキリのいい単位がいいかな。仕込みやすい単位でOK。
この場合、客単価はそこまで大きくありません。どうでしょう。1000-1500円くらいかな。
これが大きなイベントになると一気に買ったり、勢いで1種類ずつ購入してくれたりと流れが変わります。
そのあたりもデータを取りながら考えていくとトレンドや売れ行きが掴めるようになるかと思います。

ではメニューを入れていきます。左上の四角を押しましょう。

この画面が出てきますので、必要な情報を入れていきます。このとき長い名称だとわかりづらいので、略称がおすすめ。
入力できました。左上のマークを押して登録画面に戻ります。

入力したデータが反映されました。残りのデータも入れていきます。
入力が終わるとこんな感じで表示されます。

一度左上のマークからホーム画面に戻って、販売画面を開いてみましょう。
こちらがレジの管理画面になります。すべてのデータが画面内に収まっているのでみやすいかと。

あと5つまでなら画面内に収まりそう。ここを工夫していきます。
先ほどのアイテム登録画面に戻って、こちらを登録します。

そう、商品の中に決済方法を入れてしまう作戦。
こちら「0円」で登録するとこんな表示になります。

「Free」。在庫数を入れないので、ある意味目立ちますね。ブロックをひとつ開けることもできるので、それも便利。
同じように「PayPay」「カード・QR」も入力しましょう。

右のLINE特典はLINE公式アカウントでショップカードが貯まったらもらえるもの。
5ポイントで次回使える「200円オフクーポン」を設定しているので、それも入れておくとサクッと作業ができます。マイナス表記は金額の横にある「+/-」ボタンで切り替えられます。
これにて登録は終了! ホーム画面に戻って、販売管理をみてみましょう。

少々見切れておりますが、すべての項目がみれますね。現金などはどうせ「Free」なのでみえなくても大丈夫。
ちなみ1列の表記は最大8個までいけます。ちっちゃー! もはやスーパーのレジみたい笑

メニューの種類によりますが、押し間違い防止のためにもあまりちいさすぎるのはおすすめできません。
わたしは普段4個、イベントでもう少し品目が増えたら5個にしていました。
これでレジの準備が完了しました。
次はレジの流れをまとめつつ、実際に会計をしていってみましょう。
即売レジで商品を販売する
いよいよレジ業務に入っていきます。
先にレジの流れをまとめておきましょう。
- メニューを集計する(販売前)
- パンを入力し、個数の確認
- 決済方法を選択し、会計へ
- 販売終了後、CSVを確認する
- 早めに記録として残しておく
それぞれ解説していきます。
1.メニューを集計する(販売前)
メニューの入力は販売の前日、なんなら当日でもOK。当日、個数が確定してからでも大丈夫です。販売前に販売予定数と合計金額を計算しておきましょう。
電卓でやっていっちゃってもいいのですが、せっかくなのでここで集計してみましょうか。

メニューをタップした回数、集計に反映されます。
在庫がなくなると激しめに「SOLDOUT」の表記がされます。ここで本当に在庫がすべてないかも確認しておきましょう。

そのためにも在庫数は販売前に確定したものを入れるのがベストですね。
一旦すべてのメニューを入れてみてください。

めっちゃ派手になりました笑
左下をみてみると「274点 ¥61920」とありますね。すべて完売した場合の売り上げがこちらになります。
これを販売前にやっておいて、スクショやメモしておけば「いつ、なにを、いくつ」販売したか、「総売上はいくらか」がわかります。
集計が終わったら左下の「全消去」を押して、まっさらな状態に戻しておきます。
2.パンを入力し、個数の確認

販売を開始し、お客さんが購入するパンが決まりました。パンをみながら個数を入れていきましょう。
個数を確認し、間違いがなければ商品を袋に入れます。
3.決済方法を選択し、会計へ
次は決済方法をお客さんに確認しましょう。
「現金」「PayPay」「カード・QR 」のいずれかのはずなので、そのボタンを押します。
今回は「現金」にしておきましょうか。ボタンを押すと「現金」が入りました。

「0円」に設定しているので、点数は増えますが会計は変わりません。
真ん中下あたりの「会計」を押します。

現金支払の場合は渡された金額を入力します。
今回は「2000円」預かったとします。「2000」と押すとお釣りが表示されますので、渡しましょう。

会計が終わったら、真ん中下あたりの「完了」を押します。
先ほど購入された個数が減ったことがわかりますね。無事に集計されているようです。

「PayPay」「カード・QR」決済を選んだ場合も同じ。最後に支払方法を選択して、会計に進みます。

このときは「ちょうど支払われた」という扱いにします。ですのでこの場合は「1340」を入力しましょう。

レジではそのように処理しますが、この場合はPayPayでの手続きを行います。そちらについては別で記事を出しています。
現金・PayPay以外はすべて「カード・QR」を選択します。おそらくSTORES決済で処理していますので、一緒にしてOKです。

お店でもレジで一旦会計を終わらせて、別の端末に切り替えることがありますよね。あれをアプリ内でやっているイメージ。
終わったら「完了」を押して、元の画面に戻ります。同じように会計を進めていきましょう。今回はすべて完売したとして集計していきます。
なお右上のマークから販売履歴の確認もできます。現金などの表示もされていますね。

もし登録し忘れた場合でも集計さえされていれば、販売数と合計金額はわかるのでなんとかなります。
忘れることも多いと思うので、下手に現金だけボタンを押すより、全部押す習慣をつけたほうがいいかと思います。
ちなみにですが……この金額入力のボタン。

ちょっと頭が混乱しませんか?
先に言っておけって話なのですが、こちらのボタン変更できます。

ホーム画面の「設定」から「販売画面設定」の金額入力形式で、額面ボタンか電卓ボタンを選べるのでお好みでどうぞ。慣れたら額面のが楽だけど、電卓の方がちょっきりの金額入力は楽です。

すべての販売が終わったら右上のマークから「販売終了」を押します。

4.販売終了後、CSVを確認する
1日の販売が終わったら、集計を確認します。
ホーム画面の「記録管理」を押しましょう。

画像では台本を書いている日になりますが、一番上に販売した日付が表示されていると思います。こちらを押しましょう。

販売したメニューが表示されました。

右までスライドすると、支払方法で選択したものを集計されていることがわかります。

実は集計データの「6」だけボタンを押し忘れました笑
そのまま下までスライドするとこんな感じ。

一番下の右端。合計金額が表示されています。
- それぞれのパンがいくら売れたか
- 何人のお客さんが購入したか
- そのお客さんはどのパンを購入したか
- 支払方法の人数の内訳
欲しい情報はひと通りあるかなと思います。
今回のデータをざっと客単価でみてみましょう。

- 購入したお客さんの数:37人
- 支払い方法の内訳:現金23+PayPay7+カード・QR6+不明1=37人
計算すると「1673円/人」。実にリアルなデータになりましたね笑 無意識だったんですけど。
あとはPayPayやクレジットカード決済会社でみれるデータと合わせれば間違いがないことがわかりますよね。
5.早めに記録として残しておく
先ほど出したデータは、右スライドすると「共有」できます。左スライドは「削除」になるので要注意。

ただし、めちゃめちゃみづらいデータが出来上がります笑 暗号にしかみえない。

そんなとき、登場するのがNotion!

またキターー。ほらみなさん、いい加減使いましょうって。今後もことあるごとに出てきますから笑
わたしはデータをスクショして、Notionに貼り付けています。この画像なら売上管理の下あたりに貼り付けるイメージです。一枚では収まらないので、記録として残す感じ。
Notionはスクショ程度であれば何枚でも貼れますのでご安心を。
クラウドの容量を圧迫したくないなーとか、写真フォルダでわけわからんことになるのはちょっと……という方は画像の保存の面でもNotionはめっちゃ強い味方です。
スクショは早いうちに「販売管理キット」に情報を移動させます。というのもスクショが一枚に収まることはほぼありません。メニューが増えるほど横長になり、お客さんが増えるほど縦長になる。
うれしい悲鳴ですが、その日の売り上げはなるべく早いうちにある程度の集計をするようにしましょう。翌日とか。
で、その日の反省に「このパンが異様に早く売れた」とか、「今回は売れ残っちゃったな」とかも残しておくと今後の販売にも活かせます。
こちらの販売管理キット、こんな感じで出店の記録も残せます。天気とか、気温も残しておくと分析にも使えますよ。

だんだんNotionも気になってきたでしょ?笑
別にNotionでなくても、Excelが得意ならそれでもOK。これをやらずに放置すると2月あたりに涙で前がみえなくなります。
「販売は、集計するまでが販売」
遠足みたいなもんです。しっかりキリをつけましょう。自分の明るい未来のために笑
以上、費用をかけずにレジ管理をする方法でした。
今回のまとめ
今回のテーマは「販売するためのレジの準備をしよう!」でした。
お金をなるべくかけずに、ある程度の情報を得る方法を解説してきました。
わたし自身、あまり外部サービスというものをゴリゴリに使うタイプではありません。
それをアナログと言われたらそれまでなのですが、「無駄な金は払いたくない」「コスパ悪い支出はしたくない」がパン屋運営の根底にあります。
確かにお金を払えば解決するサービスもありますが、ちいさなパン屋においてはその数千円も大金です。だから課金するなら厳選したい。
とりあえずマストはLINE公式アカウントとCanva。正直それ以外はなんとでもなります。
レジに関しては全然この「即売レジ」で十分。浮いた分、お客さんに還元できますから。
そして何よりこれらを楽しんでやることが大切。
あまりにもめんどくさくて辛くてお腹が痛くなるなら、課金する価値はあると思います。そこまで無理する必要はありません。
が、もしそれを楽しめるのだとしたら。全部楽しいじゃないですか。ハッピー。
わたしにはレジも、グッズづくりも、なんならコンテンツ制作も全部楽しい。だからつづけることができています。
結局は「好きでなければはじまらない」。うまく力を抜けるツールを使って、楽しくパン屋運営していってくださいね。
次回は「レジまわりの備品を揃えよう!」です。




