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パン作りのコツ

【読むパン教室】生地の幅を広げる牛乳と豆乳を知ろう!

今回は『水から牛乳・豆乳に置き換える』コツを解説していきます。

水と同じ分量で牛乳や豆乳に置き換えてしまうとほぼ確実にパンは硬くなります

これにはきちんとした理由があります。

理由を理解しておくことで今後の生地のアレンジにも役立ちます。

おうちでのパン作りにご活用ください。

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牛乳や豆乳を入れたパンの特徴

まず初めに牛乳や豆乳を入れたパンについて特徴をまとめておきましょう。

パンの種類としては

  • 白パン
  • 丸ぱん
  • ベーグル などシンプルなパンに使う印象です。

水で仕込んだパンに比べて”焼き色が濃く、生地自体に重みがあり、風味がある”のが特徴です。

100%で仕込むと牛乳はミルクの風味、豆乳はの風味がしっかり感じられます。

生地自体がどっしりするため、トッピングなどを増やすとちょっとクドいパンが焼き上がります。

個人的には素材を楽しむパンを食べたいので、シンプルなパンに仕上げるようにしています。

おぱんくん

サンドはシンプルなパンと相性がいいよ!

ではなぜこのような特徴が出てくるのかを解説します。

牛乳と豆乳の基礎知識

この項目では牛乳と豆乳について改めて知っておきましょう。

牛乳

牛乳はご存知、牛から搾った乳です。

搾ったままの未殺菌のミルクは「生乳」、生乳を加熱殺菌したものが「牛乳」と呼ばれます。

90%が水分、10%がその他の栄養素であり、その中に脂質やタンパク質・カルシウムなどが含まれます。

パンによく使われる乳としては牛乳スキムミルクがあります。※スキムミルクは後述

豆乳

豆乳の原料は大豆。豆腐に固める前の乳液の状態のものをいいます。大豆をすりつぶして液体を絞り、汁と“かす”に分けます。汁が豆乳で、かすはおからです。

大豆には植物性タンパク質が30%程度含まれており、そのほとんどが水溶性のため、豆乳に残っています。

また水分量としては牛乳と同程度です。

豆乳は牛乳に比べて低エネルギーで低糖質、脂質も少ない

牛乳が動物性なのに対し、豆乳は植物性。両方ともたんぱく質の飲料というのは同じです。

豆乳は牛乳よりも賞味期限が長め。これは殺菌処理等され、無菌包装されるためです。

豆乳は大きく分けて無調整調整に分かれます。

  • 無調製豆乳:豆乳に水以外のものを加えていない、大豆固形分が8%以上のもの
  • 調製豆乳:豆乳に砂糖、塩、油脂、香料などを加えて飲みやすくし、大豆固形分が6%以上のもの

一般的に飲みやすいのは調製豆乳ですね。

スキムミルク

スキムミルクについても合わせて紹介しておきましょう。

スキムミルクは牛乳から乳脂肪を取り除いた脱脂乳を乾燥させたもの脱脂粉乳とも呼ばれます。

水分を含まず、牛乳がない時にパンに使うと牛乳と同じ風味などを感じられます。

牛乳よりも安く、長期保存がきくので持っておくと便利でしょう。牛乳をよく飲まれるご家庭には不要かなと思います。

生地に入れる方法は後ほど解説します。

なぜ牛乳や豆乳で仕込んだ生地が水で仕込んだ生地に比べて焼き色が付くのか

理由は”メイラード反応”と呼ばれる現象です。

糖とアミノ酸を加熱することで褐色物質の「メラノイジン」ができます。

食品にはいろいろなアミノ酸があり、メイラード反応を起こすことによっていろいろな香りを生み出します。バターの香ばしい香りもこのメイラード反応によるものです。

牛乳や豆乳にもアミノ酸が含まれます。このため水だけで仕込んだパンよりも焼き色がしっかり付き、風味も良くなるというわけですね。

なぜ生地が重たい感じになるのか

これは脂質とタンパク質が含まれるから。

どちらも熱を加えると硬くなる成分のため、仕込み水として牛乳や豆乳を使用すると生地が硬くなりやすいのです。

では最後に配合と温度調整についてお話ししていきましょう。

配合と温度調整のコツ

牛乳と豆乳の90%は水分となります。

つまり水と同じ分量で仕込み水として使用した場合、水分としては90%しか配合されないということになります。

残りの10%は水分とは別の物質であり、脂質やタンパク質が含まれます。水分量の少なさに加え、これらの影響で生地自体は固くなりやすい状況です。

そのため水を牛乳や豆乳で置き換える場合には普段より10%ほど多く入れる必要があります。

水を牛乳や豆乳に置き換える時には10%多く入れる

水を200ml入れている生地なら220mlにするということですね。

もちろん季節や使う粉などにより微調整が必要です。

ただしここで注意点があります。

牛乳や豆乳の保存は「冷蔵庫」であることが多いです。

夏場はむしろちょうどいいのですが、冬に冷たい牛乳や豆乳を混ぜると発酵が思うように進まないため、冬場はレンジで10秒を数回繰り返して生温かくするのがポイント。

40度超えてしまうと酵母が死んでしまうので注意しましょう。

もし牛乳や豆乳100%の生地が硬くて、扱いにくいということであれば10%を水に変えてみても大丈夫。

あまりに水を増やしてしまうと風味がどこかにいってしまうので15%くらいまでにしておきましょう。

牛乳と豆乳の選び方。

基本的には”好きな味”を選ぶようにしましょう。健康的だからと苦手な素材を使うと食べる気がなくなります。

ココナッツミルクやアーモンドミルクも同じように扱えますが、風味が飛んでしまいがち。

もしそのようなミルクを使う場合はトッピングも合わせたほうが味にメリハリが付きます。ココナッツミルクにはココナッツファインを入れたりしても美味しいです。

そして牛乳がない時の救世主は「スキムミルク」。

スキムミルクを使う場合は予定していた水分量に対して10%くらいの量を入れましょう。

水200ml入れる予定なら20gのスキムミルクを入れます。

牛乳をスキムミルクで代用するなら水の10%の量を入れる

スキムミルクの量を10%にする理由は牛乳の成分

牛乳は90%が水分。つまり水に10%相当のスキムミルクを入れれば「牛乳風」の液体が出来上がります。

風味を感じられるのもこのくらいの量からになります。濃いめが良ければもう少し入れても大丈夫です。

今回のまとめ

今回は「生地の幅を広げる牛乳と豆乳」について解説しました。

  1. 牛乳や豆乳を入れたパンの特徴
  2. 牛乳と豆乳の基礎知識
  3. 配合と温度調整のコツ

覚えておくことは”水より10%量を増やすことと、温度に注意する”ということ。

これを知っておくだけで大きな失敗はだいぶ減ります。

タンパク質の影響で豆乳の方が固くなりやすいので、まずは牛乳に置き換えて試してみてください。