今回は「販売する商品の決め方」についてお話ししていきます。
『このパン焼きたーい!』と思っても、思いの外原価が高くなってしまったら販売価格が上がります。
『このパン出したーい!』と思っても、出店している時に販売出来るかや持ち運びを考える必要があります。
実はネタには上がって、実際には販売出来ないパンも数多くあります。
今回は”1軍に選抜する基準”についてまとめていきます。
年間計画などもお話できたらと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
原価計算をしておく
以前いくつか仕入れや原価のお話をしました。
原価計算の方法についてはそちらの記事に託すとして、今回は原価がかかる材料にフォーカスしてみます。
分かりやすいところで言うと『はちみつ』。
これはもうピンからキリまですごい。
どのはちみつを使うのかはそれぞれの好みで分かれると思いますが、わたしはハンガリーやカナダのはちみつを選ぶようにしています。
濃すぎない甘さと主張。
かといって薄いわけではなく、しっかりはちみつ感を感じます。
はちみつもいろんな種類があります。
- りんごはちみつ
- 百花蜜
- そばはちみつ
- さくらんぼはちみつ
- さくらはちみつ などなど
ブレンドされているはちみつもあり、すこーし味わいが異なります。
個人的な話ですが、先日お友達に“すだちはちみつ“をもらいました。
スーンと突き抜けていくすだち感が新鮮でしたが、なんとなくパンには不向きな気がしたのでヨーグルトに入れて楽しみました。
パン屋をしていると周りがいろんなネタをくれたりします。
なんにせよ、気になる食材があったらそれが安くても高くても一回試してみる価値はある。
思わぬ組み合わせが最高なパンを生み出すかもしれないよ。
その後に原価を考えたらいい。
そこで「採算合わんな」と思ったら自分だけの楽しみにしたり、毎週のパンセットにちょっとだけ忍ばせたりしています。
焼きやすさを考える
次は“焼き上げ“に関して考えてみましょう。
パンの焼き上げ時間は生地によりさまざま。
わたしのパンは13分ほど焼成するものが多いです。
ただ生地の量やハード系のパンになると時間がかかるものも出てきます。
普段通販をするときなら割と時間があるのでいいのですが、これがイベント出店などになると話は別。
イベント主催をしていた時に「焼き上げがギリギリなので到着ギリギリになります」と連絡をもらったことがありました。
気持ちすごく分かるぅ〜。
仕込み始めたら、焼き始めたら時間が確定してしまうんです。
特に出店の日は搬入時間もあるので事前に計算をしておきましょう。
また、朝のバタつきが予想されている時は荷物をまとめておいたり、車に先に搬入しておくのもいいですね。
わたしのパンで一番効率の悪い生地は「テーブルフォカッチャ」。
通常焼くフォカッチャに比べて生地量が多いです。
しかも1回の焼成で焼けるのはわずか6カット。
焼成時間は20分ほど。
ギリギリだと無駄に焦るんだよね…w
まぁでもそれもパン作りの醍醐味かな、なんて。
小さいフォカッチャに比べてふかふかして、違う美味しさがあるので焼くのをやめられない。
採用するメニューにはそんな愛着もあったりします。
保存のしやすさを試す
次は保存に関して。
ここでは“出店時“と“冷凍での配送“で分けて考えていきます。
というのも保存の温度も時間も全然違いますからね。
別物として考えてメニューに採用していきましょう。
出店時の保存について
イベント出店の時の特徴は“気温“。
パンは冬の寒さには強いですが、夏の暑さや不意に暑い春と秋は注意が必要です。
特にメロンパン、チョコ系のパンは要注意。
理由は以前解説しています。
屋外出店は季節問わず日差しに注意もしておきましょう。
あとサンド系(特にバター系)のメニューもイベントには不向きです。
もし出店の時に販売したいのであれば保冷バッグ保管で。
冷凍での配送について
冷凍での配送で注意するのが『解凍後においしいかどうか』。
当たり前なんだけど、解凍して美味しくなかったら誰も買ってくれないよ。
これまでいろんなパンを作って試食しましたが、冷凍が圧倒的に不向きなのは“葉物野菜“ですね。
キャベツやレタスなど水分が多い野菜は冷凍にはやはり不向き。
でもサンドした時のパン生地の相性の良さも推したい。
“シンプルパンで販売して自分でサンドしてもらう“スタイルにしてみました。
これなら新鮮な野菜を挟めます。
しかも好き嫌いはご本人で決めていただけますよね。
シンプルでもいいし、サンドしてもいいし、解凍してちょっと時間が経っちゃったらパン粉にしてもいい。
変幻自在のパンにしたのは正解でした。
そのためには生地が美味しくないといけないので、入念に焼き上げと試食を繰り返しましたよ。
あんバタサンドなどバターを挟む系は解凍に注意。
定期販売以外では考えていませんが、メニューを希望された場合はいつも自然解凍を推奨しています。
時にはお客さんからリクエストを募ってみたりして自分のパンの傾向を掴むのも1つの方法です。
あくまで食べていただくお客さん目線で考えましょう。
季節商品を考えよう
最近こんな本を読みました。
モノを売るにはSCM(サプライチェーンマネジメント)と呼ばれる需要予測があるそうです。
SCMは『ビジネスに必要な商品の流れをコントロールする』という役割があります。
パンに関わる内容ですごく簡単にまとめると
- 季節商品の材料は少し前に仕入れる
- 販売スケジュールを考える
- 輸送コストはできる限り削減する
例えば“さくらあんぱん“。
わたしの住む地域では例年桜のピークは3月末から4月初め。
入学式シーズンではほぼ桜は散ってしまいます。
なのでいつも桜あんを使ったパンを販売するのは3月中旬から終わり頃まで。
本当の旬のタイミングでは販売が終わり、手元に届いている計算です。
餡子自体が季節終売になることも多いので、仕入れるタイミングは遅くとも3月初旬には終わらせています。
- 何パック仕入れたらいいのか。
- もし全て使いきれなかったらどう消費をするのか。
- スコーンに挟んでみる?
- あんバタサンドにしてみる?
これらを総合して仕入れをするようにしています。
途中でもし足りなくなりそうなら、時期をみて少しだけ餡子追加もします。
定期販売にメニューで入れて思ったより個数がいかなかったらパンセットのメニューに積極的に入れるなどするとキリよく使いきれます。
逆も然り。
こんな感じで季節商品は“何を、いつ、どのくらい“販売したいかを先に予測して仕入れをします。
季節商品のイメージをいくつか挙げておきます。
毎年難しいのがバレンタインデーとホワイトデー。
月の真ん中にその記念日的なものが存在するため、月替わりメニューにすべきはどうかは毎年考えます。
少なくともバレンタインデーは女性が購買層。
なので『自分へのご褒美』も多いかなと思い、2月はチョコメニューを増やすように意識はしています。
年間で販売したいメニューをざっくりと考えておくと仕入れの無駄も無くなるのでオススメです。
今回のまとめ
今回は「販売する商品ってどう決めてる?」ということでパン屋になってから販売する商品の考え方をご紹介しました。
最後にポイントをまとめておきましょう。
約8年ほどパン屋をしてきておりますが、マーケット需要などは全く考えてきていませんでした。
でもそういえば学生時代に似たようなことをしていました。
実家が自営業で、地元の夏祭りで出店する大通りにあったんです。
そこでわたしはお小遣い稼ぎをしておりました。
水風船、スーパーボールすくいで一儲けしていましたねぇw
他にもキラキラ光るグッズを仕入れてみたり、ポキっと折ると光るグッズを仕入れてみたり。
出資金は父。
2万円の軍資金をもらって、売上からその軍資金を返せばあとはお小遣いにどうぞ〜というシステムでした。
今思えばこれがわたしの商売の始まりだったかもしれません。
友だちと呼び込みをしたり、息子をサクラとして送り出してみたりww
最近になり無意識で実践していたことに気づきました。
少しずつ自分の棚卸しをしている最近も楽しいですね。
イベント出店はトレンドも大切になります。
またそんな話もしていきますね。