今回は「夏のパン作りのコツ」について解説します。
普段からパンを焼いている方向けの内容となります。
- 夏になるとパン作りが難しい
- 季節の変わり目で安定しないことがある
こんなお悩みについてちょっとしたコツをお伝えしていきます。
パンに一番良い環境とは
パン作りにベストな環境は4.5月の気候。
室温20-25℃。湿度は50-70%くらい。
長袖一枚で過ごせるくらいのイメージです。
よくある「室温に戻す」という表現はこの“長袖一枚で過ごせる“くらいのイメージだよ。
日本の夏は温度も湿度も高め。
梅雨の季節は湿度の関係で小麦粉にも少しずつ影響してきます。
梅雨あたりからは水の量を小さじ1くらい減らして仕込んでみるとスムーズに生地を仕込むことができます。
このように四季のある日本では季節に合わせてパン作りも少しずつ調整をしなければなりません。
夏のパン作りの特徴について
夏のパン作りは生地がだらけやすく、発酵が早めです。
湿度が高いことで小麦粉が湿気を吸ってしまい、べたつきやすくなるのが原因。
まず大前提『夏は生地がベタつく』ということを頭に入れておいて、水の温度や量を調整します。
また当たり前ではありますが、夏は暑い。
その分発酵も早めです。
発酵のタイミング・作業場所・発酵の場所にも気を遣いましょう。
キッチンが暑くなりがちの作りのお家であれば涼しいリビングに移動したり、出来る対策をしていきましょう。
日によっても気温等が全然違うよ、時に季節の変わり目は注意!
体感で暑いな、とか寒いな、と思った時はその直感が大事。
水の量や温度を調節してみましょう。
夏のパン作りのコツ4選
1.気温はしっかり把握しておく
真夏はエアコンを利用して涼しい環境でパンを作りましょう。
家の中でも窓際のキッチンより、リビングの方が涼しくて作業がしやすいです。
発酵も常温で発酵出来るベーグルやエピなどは夏向けです。
ちょっと暑くて湿度の高いお風呂場みたいな場所は夏にはちょうどいい発酵器のような存在となります。
打ち粉を使って素早く作業をしていこう!
2.仕込みの水の量を調節する
夏は冷水を使うようにしましょう。
ただ、梅雨頃に入ってきて湿度が上がったなと思った時は先に小さじ1くらいの水を減らすことからスタート。
さらに「暑くなってきたな…」と思ったらその水を冷水に変えてみます。
“暑さ“なのか“湿度“なのかでアプローチを変えてみるといいよ。
暑ければ冷水だし、ベタベタするなら水の量だし、暑くてベタベタなら両方というようにその時の仕込みの気候に合わせてみましょう。
そんな時に役立つのが『霧吹き』。
手でこねるときも、ホームベーカリーの時も水少なめで仕込みをしてみて「ん?ちょっと硬いかしら?」なんて思ったら霧吹きで2.3回シュッシュとしてみましょう。
これぞまさに“微調整“。
霧吹きはこんなところにも使えるのですね♪
3.複数焼き上げる時には時間差を計算しておく
「今日はたくさん焼くぞ!」ということで仕込んだとします。
同じタイミングで発酵が終わるけど、焼く温度は違う。
片方は待機、片方は焼き上げ。
そんな時は待機している方が大抵過発酵となり失敗に終わります。
特に夏はソワソワしたとしても発酵するものはするのです。
そんな時は『先に発酵が終わる生地』から成形しましょう。
仕込む段階からどのパンを焼くかという組み合わせを考える必要があります。
個人的に夏なら「プチぱんとベーグル」は割とスムーズに進む組み合わせ。
- ベーグルは常温で発酵が可能なので、30-40分部屋のちょっと暖かいところで待機。
- その間にプチぱんを丸めて発酵。
- プチぱんは発酵に1時間はかかるため、二次発酵はレンジの発酵機能を使います。
- ベーグルの焼き上げ前にプチぱんの生地は部屋の暖かいところに待機させて、予熱に入ります。
- ベーグルの焼き時間はおおよそ15分。
- ベーグルが焼き終わる頃にプチぱんがようやく焼き上げ可能な状態になる
というわけですね。
丸めるパンよりも平べたく仕上げるパン(ベーグル、エピ、ウインナーロール、あんぱんなど)の方が比較的発酵がスムーズです。
丸ぱんと他のパンを焼きたいときは組み合わせてみると良いでしょう。
意外とスケジュールや組み合わせは大切だよ。
冬に比べて夏の方が暑さに追い込まれるので、パンを焼く予定がある時は組み合わせから考えてみると良いかと思います。
4.冷蔵発酵を活用する
冷蔵発酵とは『仕込む生地のイーストを少なめにし、一次発酵を時間をかけて行う』という手法です。
そのうち冷蔵と名がつく通り、一次発酵を冷蔵庫で行うと成型前の生地温度が下がるため作業がしやすくなります。
この手法のデメリットは「2回に工程を分けるため時間がかかる」ということ。
イーストが少ない分、風味も出て硬くなりにくくなる美味しいパンが焼けますが、ちょっとクセのある手法でコツを掴むまで少々苦戦します。
ちょっとした補足
さてここまできましたが、生地だけではなく夏はクッキーや型との戦いもあります。
少しまとめておきますね。
メロンパンのクッキー生地
クッキーにはバターを用います。
そのため温度の変化にはとても敏感。
柔らかくなりすぎないようにと始めにバターや卵など液体部分を減らすとカチカチになってクッキーが割れてしまいます。
夏だからといって量を変えるのではなく、冷蔵庫をうまく使って小分けにして作業を行いましょう。
常温発酵出来るものは積極的に利用する
ベーグルやエピなどは常温発酵が可能です。
お風呂場などはいい感じに発酵の環境になっているので抵抗がなければ発酵の場所を変えて時間差を作っていくといいでしょう。
個人的にメロンパンは夏のお風呂場だといい感じの湿度(乾きやすい)と蒸し暑さでかっこよく焼けて好きな場所です。
水分量の多い生地は先に整形する
エピなどハード系の水分量が多い生地は先に成型して置くと良いでしょう。
待機させればさせるほど発酵は進み、さらに柔らかくなります。
リュスティックなどほぼ触ることのないパンであれば待機させてもいいのですが、形を作るものに関しては早めに成形します。
ハード系は常温発酵も可能な生地となります。
型に入れる生地は焼き上げ最優先に
最後は盲点の「型に入れた生地」。
型に入れる生地は型に入れてしまえばある意味安定して焼き上がります。
が、夏はそうはいかない。
予熱を待っている間に型の熱でどんどん発酵していきます。
焼き上げ直前には心配なレベルで盛り上がり、焼いたら発酵しすぎていて萎むor過発酵の匂いがする。
せっかく時間をかけたのにそれでは残念すぎる。
夏は発酵7割程度で予熱を始めましょう。
オーブンの予熱は長いものでは15分以上かかります。
その間も発酵しているということをお忘れなく。
今回のまとめ
今回は「夏のパン作りのコツ」について解説しました。
- 気温に合わせた場所の工夫
- 仕込み水のちょっとした微調整
- 成型の順番の配慮
- 冷蔵発酵の活用(概要のみ)
日本のジメジメした夏でもポイントを意識すれば作りやすくなります。
ぜひおうちでのパン作りにご活用ください。